いつもお読みいただきありがとうございます。
おかげさまで、この物語もここまで来ることが出来ました。
これからも懲りずにお読みいただけましたら幸いです。
では…
【前回までのあらすじ】
…は、とある旅物語14までがあらすじ。
それから…
「…」
原因が俺の、「余計な一言」というのは、分かった。
一つの、原因として。
それは取り敢えず横に置いて、
何故、エンジンがかからないのか。
一つひとつ、確認してみるしかない。
まず、ヒューズ。
電圧諸々の負担がかかると、色々と危ないためにそれを逃すため、クルマにもヒューズがある。
ペンライトを口に咥えながら、ややこしい部分にあるヒューズボックスを開ける。
…
異常はないようだ。
というか、この環境ではそれしか分かりたくなかった。
更に細かくとなると、もう自力では調べることは出来ない。
予備のヒューズはあったので、ここに原因がある事を少しばかり考えていた。
だが、相棒の機嫌を直すのはそんな甘いものではなかった。
なので、
セルは回るためにヒューズには問題がない、と結論する。
後は、クルマの前か…
ボンネットを開放する。
ガゴッ
と、載せた雪を落としながら前が開く。
吹雪の中、更にボンネットを上げる。
そして、最初に診るのはバッテリーだ。
俺の記憶が正しければ、半月前に変えたばかりだ。
とてもじゃないが、こんな短期間で異常が起こるとは思えない。
しかし、それはあくまで自分の思い方であり、
そんな短期間で異常が起こり得るとも限らないのだ。
ダッシュボードから、整備手帳を取り出す。
バッテリー交換時の整備の記録だ。
そして、
バッテリー自体にも交換時のシールが貼られている。
合致している。
だが、
コイツにきちんと電圧行ってるのか。
今まで、バッテリー上がりにするための行為
それを、俺は絶対的には守れてはいない。
なので、一回取り外して、付けなおしてみよう
再起動ってやつだよ
と、かなり危ない思考に陥っていた。
ここで注意となるが、間違っても素人がバッテリーに手を付けることはしてはならない。
何故ならば、バッテリーの電圧は人体にとって、とても危険な感電のレベルだからだ。
その為、手を付けるには手順が要る。
俺は、トランクから整備用の工具を取り出した。
幸いなことに、絶縁グローブまである。
それで、バッテリーの端子に手を付けようとしたその時、
「やめろ」
何故か、相棒の声が聞こえた。
…
オマエ、ブーたれてたんじゃないの?
思わず口から出力しそうになったが、「俺の余計な一言」の反省が、それを咎めた。
…
そうだ。
良く考えれば、分かる事だ。
過去、俺を含めて、整備の時に三人感電した人間を知っている。
幸い、皆大事には至らなかっただけ。
で、
そんなことをしたのは何故か?
危ないと知っていながら、「大丈夫でしょ」的な考え方から起こったことだ。
今は猛吹雪。
そこら辺は水っていう、伝導体の塊じゃないか。
工具は一般。金属だ。
そして、絶縁グローブだけで、
こんな状況じゃ安全は確保できない。
…
また一つ、相棒の言葉に助けられた。
バッテリーは正常とし、次の確認へと向かう。
そして…
(続く)