【とある旅物語・15】

いつもお読みいただきありがとうございます。
おかげさまで、この物語もここまで来ることが出来ました。
これからも懲りずにお読みいただけましたら幸いです。
では…

前回までのあらすじ】
…は、とある旅物語14までがあらすじ。
それから…

「…」
原因が俺の、「余計な一言」というのは、分かった。
一つの、原因として。

それは取り敢えず横に置いて、
何故、エンジンがかからないのか。
一つひとつ、確認してみるしかない。

まず、ヒューズ。
電圧諸々の負担がかかると、色々と危ないためにそれを逃すため、クルマにもヒューズがある。
ペンライトを口に咥えながら、ややこしい部分にあるヒューズボックスを開ける。


異常はないようだ。
というか、この環境ではそれしか分かりたくなかった。
更に細かくとなると、もう自力では調べることは出来ない。
予備のヒューズはあったので、ここに原因がある事を少しばかり考えていた。
だが、相棒の機嫌を直すのはそんな甘いものではなかった。
なので、
セルは回るためにヒューズには問題がない、と結論する。

後は、クルマの前か…
ボンネットを開放する。

ガゴッ

と、載せた雪を落としながら前が開く。
吹雪の中、更にボンネットを上げる。
そして、最初に診るのはバッテリーだ。

俺の記憶が正しければ、半月前に変えたばかりだ。
とてもじゃないが、こんな短期間で異常が起こるとは思えない。
しかし、それはあくまで自分の思い方であり、
そんな短期間で異常が起こり得るとも限らないのだ。
ダッシュボードから、整備手帳を取り出す。
バッテリー交換時の整備の記録だ。

そして、
バッテリー自体にも交換時のシールが貼られている。
合致している。

だが、
コイツにきちんと電圧行ってるのか。

今まで、バッテリー上がりにするための行為

それを、俺は絶対的には守れてはいない。

なので、一回取り外して、付けなおしてみよう
再起動ってやつだよ

と、かなり危ない思考に陥っていた。

ここで注意となるが、間違っても素人がバッテリーに手を付けることはしてはならない。
何故ならば、バッテリーの電圧は人体にとって、とても危険な感電のレベルだからだ。
その為、手を付けるには手順が要る。
俺は、トランクから整備用の工具を取り出した。
幸いなことに、絶縁グローブまである。
それで、バッテリーの端子に手を付けようとしたその時、

やめろ」
何故か、相棒の声が聞こえた。


オマエ、ブーたれてたんじゃないの?
思わず口から出力しそうになったが、「俺の余計な一言」の反省が、それを咎めた。


そうだ。
良く考えれば、分かる事だ。
過去、俺を含めて、整備の時に三人感電した人間を知っている。
幸い、皆大事には至らなかっただけ。
で、
そんなことをしたのは何故か?

危ないと知っていながら、「大丈夫でしょ」的な考え方から起こったことだ。

今は猛吹雪。
そこら辺は水っていう、伝導体の塊じゃないか。
工具は一般。金属だ。
そして、絶縁グローブだけで、
こんな状況じゃ安全は確保できない。


また一つ、相棒の言葉に助けられた。
バッテリーは正常とし、次の確認へと向かう。
そして…
(続く)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次