とある旅物語

ある旅を物語にしてみました。
途中、そのままの表現をしてしまうと痛々しいという部分があるかとは思いますので、そこは若干脚色を施してあります。楽しんで頂ければ幸いです!

【とある旅物語】
冬のとある日。
俺は、その日上司から休暇を言い渡された。
理由は、勤務が連続で続いたから、とか言うものではない。
自分では、疲労は確かにあったものの、まだまだこれから、と、気合いを入れている最中のことだった。
それは、取り組んでいる業務についての、俺の精神的、身体的負担からの配慮であるものとは察したが、俺は素直に受け入れる事はできなかった。皆への迷惑も考えると、尚更だった。
いや、今までも散々と無茶苦茶言われてきながらやってきてるんだし、なんですけd
…その後の言葉を飲み込む。

仕方ない。自分では何とかなると思いつつも、客観的には、そういうものでもなかったのであろう。
実際、身体的にも精神的にもきつかった。上司には信頼を置いていたし、今までも頑張ってきた。
命令と口にするなんて、余程だったのだと思う。
俺は、皆に申し訳ないと思いながらも休暇をとることにした。とりあえず、数日間の休暇命令だった。

しかし。

その一日目にして、俺は
「休むって、どうやったら休んでることになるの?」
という、今まで考えた事も無い壁にぶちあたる事になってしまった。
寝る事?食う事?ゲームする事?
10円玉をサン○ールでこすって、ピカピカにする事?
休むって何なの?
好きな事すれば良い、って言われたけれど、
好きな事が分からない。
とりあえず真昼間から寝転がってみるが、数秒と持たない。

落ち着くどころか、逆に悶々と悩み始める。
寝転んでは起き、起きては寝転ぶ。
起き上がり小法師のような状態を繰り返す。新しい一人遊びにするか?
仕事の日の朝は、目覚ましが鳴っても
「もう5分だけ寝させてー」
と、うつらうつらしたいと思い、いざ休みとなると5分どころかもっと早くに起き上がりたくなるこの身体。
普段はダラダラしているのに、日曜日の朝だけ、テレビの特撮ものを観たいがためにシャッキリと早く起きる。
そんな感じだろうか。
とにかく、やることがない。
いや、実際やることは沢山あるのだが、やることの整理が出来ない。
そして、その時、何かが唐突に降り懸ったのだ。

「旅に出るんだ。俺!」

と。

今までも何処かには出かけてはいたものの、今のこれは、何かが違う。
そして俺は、かなり昔に赴いたある地が浮かび、その地の宿に電話をかけた。
「すみません、今日一泊でお願いしたいのですが」
「はい、大丈夫ですよ」
と、トントン拍子に話が進んだ。

【続く】

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