(今回はフォントが違っております。私のミスです、ハィ。最初にお断りしておきます。
内容は変わりありませんので、ご了承のほどよろしくお願い申し上げます)
・前回までのあらすじ
休暇をもらって北の地に旅に出た俺。
そこでは色々あって、色々と何かしながら、今は帰路に着いていた。
高速道路で『蒼鉛の雲』に突入した俺と相棒。
そして…
相棒と俺は、高速道路をひた走る。
タイヤチェーン装備をした相棒、
そして、(自称)国際SSS級ドライビングライセンスを持つ俺。
この要素と、事前に天候について準備していた我々にとってはですね、
こんな吹雪の中でも走破出来る状態が整っていた。
時間にして一時間程度走行すれば、この雪雲の中から脱出できるはずだ。
走行車線を時速60㌔で走行していたが、次第に準備不足のクルマで走行車線が詰まってくる。
追い越し車線でも、スピードを出すことが出来ないために、左側に皆寄ってくるためだ。
渋滞の初めが始まっているのだ!
こうなってくると、
先が詰まってるんだからお前も先に進めないじゃん
と、どこかから突っ込みが来るのは分かっている。
だが、
我々はこの天候によるチェーン規制が出る前からチェーンを履いているという、
通常ははまったく気にしない要件をあらかじめ満たしているのだ!
その為、
追い越し車線を時速60㌔でセーフティードライブしていても、
何だコイツ、トロトロ走りやがって(どこかの凄腕ドライバーの声)
などと思わせてしまうような、人様の迷惑になる走行にはなっていないのだ!
普段はあまり追い越し車線には入らないが、
今は普段ではない。
相棒と共に、追い越し車線での走行を続ける。
暫くすると、吹雪で視界状態が一気に悪くなった。
ホワイトアウトってやつだ。
「…」
ところで、
クルマの免許を取る際には、大体みんな教習所に行きますよね?
そして、
「かもしれない運転」
と、
「だろう運転」
の違いを、絶対といって良いほど学科教習の時に習うはずだ。
これは、例えば見通しの悪い交差点とか、
停車している車の影とか、
要するに視界が悪いところで
「そこから人が飛び出すかもしれない、だから徐行しよう」
と考えて走行するか、
「きっとそこから人なんか飛び出さないだろう、だから行ってまえー」
と考えて走行するか、の違いを習うものだ。
そして、学科教習の映像では、必ず「だろう運転」をしている場合は人身事故を起こすという、
非常に分かりやすいものとなっている。
そのため、「かもしれない運転」をしましょう、となっている訳だ。
だが、これはあまり正しくはない、と、俺は思っている。
日本語含め、言語の解釈っていうのは、自動車の教習所で習うわけではない。
人間の考え方、認知の仕方っていうのは、それ以外の学習やこれまで生きてきた経験、環境などによるものもある。
なので、教習所がそこまで個別に指導することなど不可能なのだ。
マンツーマン、ではないのだ。
家庭教師の先生ではないのだ!
例えば、「かもしれない運転」。
人によってはですね、
「人が飛び出さないかもしれない、だから行ってまえー」
という風に考える場合もある。
逆に、
「人が飛び出すだろう、だから徐行しよう」
と、考える場合もあるのだ。
なので、この「かもしれない運転」と「だろう運転」
その言わんとしている事は、逆の様で同じことなのさ。
動詞、形容詞、助詞、肯定形、否定形、二重否定形
前に付くもの次第で、捉え方なんて千差万別よ
という真理に気付き、時と場合によって、正しくその使い分けを判断出来る者が、
本当の意味でのセーフティードライバーである
と、俺は思っている。
ハイ、かなり大げさにカッコつけて言いました、ハイ。
吹雪とは違うが、濃霧の中でも視界は悪くなる。
その中で、ヘッドライトを点けたとしても視界の改善には至らない。
光が、乱反射するので余計に見えなくなるのだ。
その為、フォグランプ、という、黄色く光るライトがクルマには搭載されている。
原理としては、通常のライトよりも黄色く点灯するライトの方が、水分による光の乱反射を
起こしにくい、というものに基づくからだ。
だが、これをしたとてですね、
視えにくいものは視えにくい
それに変わりはない。
だから、こうした状況下では、考え方を変える必要がある。
言ってみれば、かもしれない運転だろうが、だろう運転だろうが、
フォグランプを点けようが、
自分が安全に走れれば良い
という、「主観」に頼っていることが、最も危険な状態だ。
自分が気を付けていたとしても、自分と同じように他人が気を付けている訳ではない。
どんなに自分が気を付けていようが、遭うものには遭う。
よって、こうした場合は
「自分の存在を無理矢理にでも他者に伝える」
という手段を講じることこそが、最善策なのだ。
↑
(あくまで、ワタクシの主観的な考えによるものですので注)
存在感を強烈にアピールすることにより、視界が悪かろうが何だろうが、否が応でも他人は気付くのだ。
そこに、危険な物体がある…と、いうことに。
「…」
俺は、相棒に搭載してある秘密アイテムの一つを使うことにした。
それはですね、
「回転灯」
です。
某国民的アニメの、秘密道具を取り出すときの言い方をお借りすれば、
かい
てん
とーう!
パカパカペケーン!(←効果音なので想像にお任せします)
相棒のフロントにそれを載せる。
シガーソケットにプラグを差し込む。
それは、瞬く間に派手な色を回転し始めた。
「…」
あまりにも派手過ぎて、少しだけビビる俺。
この回転灯は、一昔前に某有名雑貨店の何とかハンズで購入したものだ。
交通違反にはならないものではある。
初代相棒に積んでいたものを、今の二代目相棒に持ってきたパーツの一部だが、
こんなに派手でしたっけ?このぐるぐる回る光。
少し間違えたら、何か違った意味で通報されそうだ…
すかさず一旦取り外そうと思った時、
「存在感が大事なんだろこの馬鹿野郎」
と、相棒が俺に言う。
…
そうだな。
この、視界が悪い、という皆が平等の中では、
己の存在感を示すことが大事なのだ。
そうすることにより、大事を未然に防ぐことが出来るのだ。
相棒の助言により、俺は羞恥心を破棄して先に進む。
このホワイトアウト下でも、これだけ派手な光は目立つはずだ。
きっと、後続車もこの光を頼りに進むはずだろう。
社会貢献しているんだー
…と、自分自身を奮い立たせる。
こうした恥ずかしい感情と正義感で揺れ動きながら走る事幾何、
段々と吹雪が弱まってきた。
…
あの先に見えるものは…
あれは、日差し
だ。
相棒の時計に目をやると、
時刻は午後12時50分になっていた。
…
そうか。
雪雲の出口に来たか。
それなりに距離も走っている。
昨日から考えていた脱出ルート通りだ。
そそくさと回転灯を収め、視界が確保されていく中を走行する。
ラジヲを付けていることも気づかず、ただ日差しの見える方向へと進んだ。
そして、雪が止む。
…
…
…
何度も本当にそうなのかどうかを確認する。フロントガラスにぶち当たるものはない。
身体に感じるのは、青天だ。太陽の光だ!
おっしぁぁぁぁぁ
どうやら、雪雲貫通作戦は成功したようだ。相棒と俺はその辺のサービスエリアで一息入れて、
この先の帰路に着いての戦略を練ることとした。
そして…
(続く)
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